『俺の三本立て!』〜もしも「男と女」について三本立て上映するならば〜


 

2億円あったらどんな家を買おうかなとか、

真矢みきと夫のバレエダンサーはどんな性生活を送っているのかとか、

俺が総理大臣だったら議会で寝た奴には罰金しようかなとか、

自分に関係なさそうなことについて妄想しまくっている私、高野百万石が

映画について妄想を膨らませる新企画をスタート!

テーマは「もしも~な映画を三本立て上映するなら」で、その名も『俺の三本立て!』。

記念すべき第一回は「男と女」についていっちゃいます。

きっとこの3本立てを見れば、

何十年かかっても気付かないような、妙にややこしいことを学べるはずです!

 

 

①『きみに読む物語』 ニック・カサヴェデス

 

 

1本目の狙いは、油断だ。

TSUTAYAの恋愛映画ランキングで常に上位に居続けるこの映画は、

「祝・なんだかんだ言って初恋成就しました!」ムービーである。

恋愛というのはいかに美しいものかを、この映画を見て感じてほしい、今のうちだけ!

 

初恋なんてものは、子供の頃の夢と同じでろくに叶いはしない。

だけど叶っちゃった時の感動って言ったら、たまんないのである。

今をときめく良い男ライアン・ゴズリング演じる主人公は、

田舎町で暮らしで質素な生活を送る純朴な青年。

それに対してヒロインは都会育ちの上流階級であり、

恋の炎に油を注ぐであろう格差である。

それから色んなことがあって別れることになり、そして数年後再会するのだが

まあ予想の付く通りハッピーエンドを迎える。

 

多少のひねりはあるが、大体が定石通りの王道恋愛映画を見て

「愛っていいわ!」「まじで運命の相手っているんだよ!」とか思ってくれれば、

このあとのダメージはデカくなる!人生そんなにうまくいくわけないんだってば!!

いわば、ミルコ・クロコップに惨敗した永田裕志。今は良いかもしれないけど、結局あっけないのだ。

 

 

②『her 世界に一つだけの彼女』 スパイク・ジョーンズ

 

 

2本目の狙いは、愛はエロであるだ。

監督のスパイク・ジョーンズは、最近なんと一回り以上の年下の染谷将太と結婚した菊池凛子と

付き合っていてあっけなくフラれた奴。

こんなとんでもない映画を撮る天才を捨てた挙げ句、

年下の若輩者と富士そばの前でキスするような女にフラれたのに、

ちょっと傷ついちゃってる感じを滲みだすスパイクさん、あんたかわいいよ!

 

妻に離婚を切り出され、離婚届に判を押せないままのウジウジ野郎ホアキン・フェニックス演じる主人公。

そんな時、OS(オペレーティングシステム。Siriの進化版のようなもの)を買い、

あろうことか彼女=her=OSに恋をしちゃうのだ。

ざっくり言えば、スマホに恋をし、スマホとデートし、スマホとセックスし(ほんとです!)

スマホと愛を誓い、そしてスマホにフラれる。

呆気とにとられながら、「本物の愛だったよね?」なんて確かめちゃったりして、

最後にふわっと、そわっと大事なことに気付き、とりあえずめでたし。そんな話だ。

 

この映画の肝は、上品でビューティフルなエロさである。

作り込まれたビビッドな映像はまるで敷居が高そうであるのだが、意図的に生々しいエロが織り込まれている。

たとえOSであろうが、愛があればエロくなる、それが男と女だ。

男は女を求め、女は男を求める。電気を暗くしてみる。エロいことをする。それが愛なのだ!

菊池凛子の功績も多少は感じられる、この名エロシネマ。

ボディプレスを狙って相手がトップロープに上っていたらちょっと寄ってやるんだよ!

っていう「男と女」にとっても大事なことを教えてくれる。たぶん、そういうことなのだ。

 

 

③『ゴーンガール』 デヴィッド・フィンチャー

 

3本目の狙いは、男と女は他人であるだ。

結婚して家族になって子供が生まれようと、夫婦はどうしても他人であるしかない。

愛じゃあ乗り越えることの出来ない、途方に暮れるほど高い壁があるのだ。

恋は盲目というが確かにそれは事実であり

恋が本物の愛であると思い始め、しばらく経ってから壁が見えるようになる。

生半可なカップルがこの映画を見たら、きっと別れるはずだ。

そんな映画である。しかし、冷たい真実を突きつけながらも

良薬は口に苦しと言うのか、男と女の未来を明るくする希望を描いてもいるのだ。

 

男と女には、愛には、夫婦には、一体何が必要なのか?

そんな普遍的な問いに対し、上映時間およそ二時間半、たったの二時間半で明らかにしてみせる。

それは、演じることなのだ、つまり嘘をつくことなのだ!と。

急に私事になるのだが、初恋の相手を初めて家に招いた時のこと。

お互い、どことなくよそよそしく、座布団の上に居座りながらセーフティーリードを保っていた。

あーだこーだ会話をしながら時は流れていく。1時間半くらい経った。

その瞬間。きっと、我が家に舞うホコリのせいでムズムズしたのだろう。

彼女はくしゃみをした。そして、それと同時にとんでもないおならをし、その3秒後に泣き出した。

30秒後には靴を履き家を飛び出し、40秒後には背中が見えなくなっていた。

それで終わった恋愛なのだが、もし「私、すごいおならでちゃう人間なの」とかわいい嘘でもついてくれれば、

そういう人間を演じてくれていれば、良かったのである。

 

「嘘なんてイヤだ」なんて、くそくらえ!

嘘がなければ、ある役割を演じていなければ、傷つき過ぎてどうしよもなくなってしまう。

この映画を見れば、きっと『きみに読む物語』のことなんて忘れてしまうだろう。

そう、それでいいのだ。

嘘をつけ!演じろ!バカ正直にありもしないことを信じるな!

これでやっと、負けると分かっていながら垂直落下式ブレーンバスターを仕掛けられた時に

あえて自分から垂直になることが、いかに大事で大変なことか分かるはずだ。

男と女はプロレス。時には、負けるが勝ちなのだ。

 

 

高野百万石