男が痺れる歌たち『Dandy Dandy Me』 高野百万石


 

男が痺れる。

それは一体どんな瞬間なのだろう。

短い足をちょっと気取って組んだら、足が痺れる。

蒙古タンメン中本に行ったら、舌が痺れる。

彼女を腕枕していたら、あっという間に腕が痺れる。そして、そっと痺れた腕を引き抜く。

確かにそうかもしれない。

がしかし、『Dandy  Dandy Me』でいう痺れるは、少し意味が違う。

男が痺れる。それは、”金タマを鷲掴みされること”である。

きっと男なら、一度は経験したことがあるはずだ。

女性の方は、ご想像ください。ふとした瞬間、緩みきった玉袋をキュッと鷲掴みされ

「これは痛みではない」という確信が身体中をザワつき駆け巡り、

それを追うように言葉にならないビッグウェイブが襲う。

波が引き、沁みないように閉じていた目を開き、その時残されたものは何か。痺れた金玉と感動だ。

そんな独自の基準で選んだ曲をご紹介しよう。

 

①『Woman~Wの悲劇より~』薬師丸ひろ子

 

 

この曲の良さといったら…全てである。

まだどうみてもGirlな薬師丸ひろ子に、作曲:ユーミン 作詞:松本隆大先生の『Woman』を歌わせたら

そりゃあもう金玉が痺れるに決まっているのだ。

寄る辺のない気持ちを、「オールがない」という言葉で表現しきる言葉の力、

シンプルなようで実にダイナミックな展開が繰り広げられる音の力

決して上手な訳ではないけれど、絶妙な「ほつれ」が揺れ動く微妙な心情を描いてしまう歌の力。

全てが奇跡的にミックスした結果、金玉へ強烈な一撃をかます名曲へと仕上がっている。

 

男は大抵、切っても切り離せない「下のオール」に左右されてしまう。

悲しいかな、女性の気持ちを考えず、一人フラフラと旅をしてしまうことがある。

そういう時こそ、この曲を聴くのだ。

「オールを持たない」女性は、こんな気持ちでいるのだと感じるべきなのである。

痺れた男は愛する女の元へと帰り、ベッドの上ではWomanをGirlにしてしまう。

つまり真のDandyに一歩近づく瞬間である。

 

 

②『浅草キッド』ビートたけし

 

 

『Woman』とは対照的に、こちらは男に玉を掴まれるパターン。

玉の掴み合いなんて、まるで水球における水面下の戦いみたいだ。

しかし、水球の水面下では醜い争い以外の何物でもない一方、

浅草のこたつの下で繰り広げられるそれは、まるで愛だ。

お互いに同じ夢があり、揃って苦虫を噛んでいる。

逃げたくなる時だって、等しくある。

だが、そんなことは許すまい、一緒にやるんだろ!と

金玉を掴み合って刺激し合いながら切磋琢磨していく。

そんな姿が想像出来る。

 

上手いか下手で言ったら、下手な歌。

だけどそれを加工するでもなく、卑下するでもなく

「これが俺の歌なんだ」と堂々と一丁やりきる格好良さ。

昭和真っ盛りの時代、相方のビートきよしへ向けて作った歌が、

世代を超えて平成生まれの24歳の男の金玉を鷲掴みにした。

そして俺は今、この記事でこの曲を紹介している。

絶対語り継いでいかなければいけない、未来の日本の金玉に必要な曲だと確信しながら。

『浅草キッド』と出会った人たちの金玉が歴史をつくる。Dandy溢れる世界が待ち遠しい。

 

 

③『Hold On Me』小比類巻かほる

 

https://www.youtube.com/watch?v=xG0joO9p0jo

 

「Hold On Me 目を閉じて届けたい メロディ 形のないおくりもの

今のままのあなたでいて 誰よりも愛しているよ」

 

この冒頭の一発で、完全に鷲掴みにされてしまった。

Womanからこんなに力強い刺激が来ちゃうんだからたまらない。

例えるとするなら『Woman』と『浅草キッド』を足して2で割って、

そこに真矢みき的な「くじけないで」が上手い具合にふりかけられた具合でしょうか。

ともすればちょっとダサくなりそうな言葉を、

完全な説得力・支配力で”逞しさ”へと昇華させた小比類巻かほる恐るべし。

ひょっとしたら、アレがついてんじゃないかと疑ってさえいる。

 

繰り返しになるが、この歌詞は画期的だと思う。

「Hold On Me」と「メロディ」で韻を踏むなんて、それまでの邦楽界においてなかったのではないだろうか。

並みの歌手ならケツでゆっくり踏んで歌謡曲丸出しになるのがオチだが、

小比類巻さんはアタマで滑らかに違和感なくクールにかっこよく踏んで見せた。

その結果がこれだ。歴史に残る、これぞJ-POPの極みの一つであると言いたい。

つまりカワイイだけじゃない、かっこいいが評価される時代。

女性に金玉を掴まれる。今じゃそんなに珍しいわけではないが、

その道を切り開いたであろう『Hold On Me』。

玉のないWoman/LadyがあまりにDandy。

玉を持つ者よりも、もっともらしい精悍さ。

金玉ひいては男にゃあちと辛い、新時代の到来を告げる一曲である。

 

 

ここまでご覧になって頂いて、なんとなく統一感というものを見せられたと思っておりますが如何でしょう。

男が痺れるというテーマにおいて、「男が痺れる=金玉を鷲掴みにされる」という新概念を確立し

明らかに「金玉目線」な話を展開してまいりました。

正直、私自身ここまで「金玉」に執着したことはなく、ましてやこんなに「金玉」と入力をしたこともなく、かなりチャレンジングな内容だと自負しております。

もしかしたら、他のメンバーに怒られるかもしれない。そうも感じております。

しかし、この普遍的かつ「玉しい」のこもった話に、是非共感していただけたらと思います。

最後に本コラムの名称『dandy, dandy me』の元ネタである、

Marvin Gaye『Mercy Mercy Me』でお別れしましょう。さよなら。

 

 

 

次回もお楽しみ!