特集「恐竜」(1):恐竜という不思議な感覚


今回は、「恐竜」がテーマである。

正直、わたしは、小さい頃、恐竜の図鑑を眺めた記憶もないし、上野の科学博物館に行っても、興奮するのは宇宙のブースだけである。

 

そんなことを考えていたら、ふと幼少期のことを思い出した。

私は、広島の田舎で生まれ育ったのだが、

「かつてそこは海であり、クジラが泳いでいた」という話をきいてひどく興奮したことを思い出したのだ。

(その話は本当かどうか知らない)

 

なぜ興奮したのか?

それは、ずべてが神秘的に感じられ、現実の空間から解放されるからである。

 

想像してみてほしい。

この地球は、かつては、パンゲア大陸とよばれるような大きな陸の塊と海でできていたこと、

今、この私がいる場所は、海であり、大きな魚が悠々と泳いでいたかもしれないこと、

少し前までは、恐竜とよばれるような巨大な生物がわさわさと生きていたこと・・・・

 

そんなことを想像していたら、

人間のちっぽけさ、空間という次元の刹那さ、そこにいる自我を持った私という存在・・・

すべてが神秘的で、笑みがこぼれてしまう。

 

「恐竜」に限って言えば、

「恐竜」という生物の走っている様子、むしゃむしゃと獲物を食べる様子、ゆらゆらまったりしている様子・・・

そんなことを想像するだけで、今、ここにいる「私」という現実は、どこかへ飛んでいってしまい、不思議な感覚だけが残ってしまう、ということである。

 

だから、今回は「想像するだけで、現在の人間の常識である地理的空間の感覚が麻痺してしまう」という素晴らしさに焦点をあてたい。

(恐竜については多く語れないからね!)

 

・・・

あ、でも、ちなみに、恐竜について調べようと思って、本屋さんに行って、おもしろいものを見つけた。

この本は、「恐竜」を、現代の空間にそのままお引っ越しさせている。

現代の空間については変化を加えず、恐竜をペットとして、現代の常識の枠組みのなかに組み込もうとしたものである。

私が思う、「恐竜」の素晴らしさとは、真逆であるが、地理的空間に焦点をあてて、「恐竜」を眺めるというのは、面白い試みである。

購入して、読んでみたが、恐竜のそれぞれの特性についてもきちんと把握されており、

排泄や食事、購入方法(生息地)など事細かに書かれていた。

また、独特のイギリス風のジョークも随所に入っており、大人向けの絵本である。

 

・・・

本題に戻って、

「地理的空間の感覚が麻痺してしまう」映画に焦点をあてたい。

 

いわゆる冒険ものやファンタジーの本なら、もちろん、地理的空間は麻痺してしまうものが多い。

でも、それって、結局ファンタジーなのである。

いま、ここにいる「私」とは別の物語、別の世界であって、恐竜を想像したときのような「私」との繋がりを感じることができない。

だから、恐竜を想像したときのような神秘的な感覚にはなりえない、というのが私の持論である。

 

現代の枠組みのなかで、地理的空間の感覚が麻痺するものがよい。

特に、地理的空間のなかでも「国」というものが一番厄介で、私の嫌いな概念なので、その「国」を飛び越えたい。

 

 

まず一本目は、『Night on Earth』(ジム・ジャームッシュ)

この映画は、タクシー運転手と乗車しているお客さんとの関係を、オムニバス形式で映し出している。

場所は、様々で、ニューヨーク、パリ、ヘルシンキなどである。

この映画には、どこからどこへ移動するとか、どこの国か、ということは一切関係がない(私にとっては)。

ただただ、運転手とお客の存在や、生活、人生がそこに存在することを映している。

恐竜や宇宙などの壮大な仕掛けを用いずに、「国」などの現代の地理的空間の感覚から解放され、地球という大きな枠組みを与えてくれる。

私との地続きな物語であるにも関わらず、身体が宙に浮くような不思議な感覚を与えてくれる。

そして、今、ここにいる「私」の存在や生を感じさせてくれる。そんな映画である。

 

 

そして二本目は、『バベル』


まあ、これは、有名なので説明は省く。

ただ、この映画、というよりも、「バベルの塔」という神話は、とても興味深い。

かつては、ひとつの大陸であり、恐竜たちがわさわさといた空間(バベルの塔ではそこまでいってないけど)は、バベルの塔によって、分断されたのである。

そして、私たちの今いる社会は、コミュニケーションによって成り立っている。そして、コミュニケーションは、言語でなりたっている。

それを分断させたのが、「バベル」。。

インターネットが発達し、グローバル社会と言われる現代。

果たして、「今、ここにいる私」は、言語を超え、「国」を超え、空間的にどのような進化をすすんでいくのか・・・。

 

なーんて。

 

 

 


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