O.B.ジャクソンはなぜヘイトフル・エイトではないのか?


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十本撮ったら引退する、と公言しているタランティーノの新作『ヘイトフル・エイト』は雪の荒れ狂う山小屋に閉じ込められた、八人の話だ。そしてこれが八本目の長編映画だ。これを観ずして、残りの二本を観ることができないというほどの傑作である。(勿論これまでの作品も)是非ここで劇場に足を運び、老若男女タランティーノの奥ゆかしさを感じて欲しい。(レイティングなんて関係ねえ!ガキは今すぐ髭をつけて映画観へゆけ!)

 

物語は南北戦争が終結してから数年後、雪がしんしんと降り注ぐワイオミングの山岳地帯での出来事だ。黒人賞金稼ぎのウォーレンは乗っていた馬をダメにしてしまい、たまたま通り過ぎた駅馬車(現代でいうところのタクシー)に助けを求める。馬車の中には既にベテラン賞金稼ぎのジョン・ルースとそいつの獲物、女犯罪者デイジー・ドメルグが乗っていた。ジョンと顔見知りだったウォーレンは馬車へ相席し、そのままミニーの紳士服飾店へと向かった。そこで見るも無残な殺し合いが始まる。

 

この主人公たちをミニーの紳士服飾店へと運ぶ馭者がいる。その名もO.B.ジャクソン。彼は宣伝のポスターに並んでもいなければ、予告編にも出てこない。その癖、出番は多く、本編では気の毒なパシリキャラクターとして観客の笑いを誘っていた。しかし髭をボーボーに生やし、サングラスまでしているから観客はO.B.って誰?一体何者?となる。そうこうしてるうちに彼はあっさり死んでしまう。もう少しフューチャーしてあげてもいいんじゃないかとも思うが、そうはならない事情がある。

O.B.を演じるのはアメリカの俳優ジェームズ・パークス。知っている人もいるだろうが彼は二世俳優だ。父親は歌手であり俳優のマイケル・パークス。そんな二人が親子共演している映画がある。『キル・ビルVol.1』及び『デス・プルーフ』などだ(しかしここでも影が薄い!どんな役を演じていたかさっぱり)。

『キル・ビル』の青葉屋で暴れたクレイジー88のメンバー?はたまた『デス・プルーフ』のスタントマン・マイクに殺された一人か? その正体やいかに?

 

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キル・ビル               デス・プルーフ

 

二作とも同じ保安官役です。しかもかなり女好きのへタレな保安官。特に『デス・プルーフ』でのパークス親子はタランティーノ映画史上最高の小心者だった。殺人鬼スタントマン・マイクがうるわしき乙女たちを次々と殺した、という疑いを抱いている癖に「こういう事件にかかわるとロクなことにならん」と言って、しまいには「よその州で殺ってほしい」とぽつり。思えば『キル・ビル』でも瀕死のザ・ブライド(ユマ・サーマン)を教会から病院へと移しただけで、捜査なんかろくすっぽしなかった。でもどこかリアルに感じられる国家権力の一部分。

そんな彼に罰を与えたのか、今回ヘイトフル・エイトからスタメン落ちし、悲惨な死を迎える。こうして俺の大好きなO.B.もといジェームズ・パークスは、働かなかった罪を償った!

 

オシリ・ギャラガー