オシリ・ギャラガーのB級映画バンザイ


『バーバレラ』

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かつてジョン・レノンは言った。「想像してごらん」と。先日の『スターウォーズ フォースの覚醒』にいささかがっかりした俺はこの言葉を思い出した。観たことあるストーリー展開、ダサくて間抜けな悪党カイロ・レンなんかに興奮した人の気がしれない。デイサービスの如く年老いたスターウォーズファンによりそうのもいいが、俺は新しいスターウォーズがみたいのだ。つまり「まったくよくもやってくれたな」という気分なのである。だから言わせてもらう。パダワンよ(J.Jエイブラムス)おまえさんはどうせこれからもSF映画を撮るだろうからSF映画の傑作『バーバレラ』を観て一から出直してこい。

 

とある近未来、若き天才科学者デュラン・デュランが宇宙旅行中に失踪してしまう。彼はポジトロン光線という非常に危険な物質を発見した人物で、それを兵器に利用した途端姿をくらました。宇宙の平和に関わる事態と知った地球大統領は、宇宙飛行士のセクシー姉ちゃんバーバレラ(ジェーン・フォンダ)に科学者の捜索を任命する。普通なら女一人に任せる仕事ではないのだが、さすが近未来。平和の秩序が保たれた世界に警察は存在しないのだ。

バーバレラはすぐさま惑星タウ・セティに飛ぶ。しかしそこには悪の皇帝が支配する都市ソゴーがあった。

SFの醍醐味であるイマジネーションの力。この映画にはそれが溢れている。氷上を滑るエイやちょっぴり耳の長いブルーのウサギなどのクリーチャー。拷問で失明した有翼人パイガー。なかでも知性を持った湖マトモスは面白い。プラスの磁性があるマトモスはマイナスの磁性を持つ悪人を好むのだ。悪人たちはマトモスに惹きつけられ、集まり、まるでソドムのような街、ソゴーを形成し、自らを堕落の底へ陥れる。このようにそこまで派手ではないが「異世界に来たんだ」という子供の頃に感じたあのワクワクを、再度体感出来る奇妙な設定が幾つも散りばめられている。

なにより素晴らしいのは主人公のバーバレラがこれまでの映画史にないほど淫乱だ、ということだ。助けてくれた男たちと次々に寝る彼女のエロスは凄まじい。

映画の序盤、バーバレラの乗った宇宙船が磁気嵐に巻き込まれ、座礁してしまう。タウ・セティのチャック・ノリスことマーク・ハンドに助けられたバーバレラは「お礼になにかしてあげるわ」と告げる。マークは即答で「セックスをさせてくれ」とせがみ彼女は了解する。

しかし彼女のセックスは興奮伝導剤(ピル)を呑み、手を握って互のバイオリズムを同調させるという未来式のセックスだった。陰茎を膣内に挿入する現代のヤリ方は、もうかなりダサいのだ。ところがタウ・セティで原始的な生活を営むマークは古いヤリ方がいいと言ってきかない。

「お望みならどうぞ」

セックスを終えたマークは旅立つ彼女に「また戻ってきてくれ」と頼む。鶴の恩返しならぬバーバレラの恩返し!その後も飛ぶ気力を失くしたパイガーを大空へ羽ばたかせたり、革命軍司令の童貞ディルダノと筆おろしのごとく未来式セックスをしたり、しまいには敵であるバイセクシャルの女皇帝に気に入られる、ともう滅茶苦茶。そしてラスボス、デュラン・デュランが秘密拷問器具オルガスマトロン(オルガンとマッサージ器のハイブリッドマシン)で【死刑執行人と若い女たちのためのソナタ】を演奏し、彼女を殺そうとする。「ああ!気持ちいい!」絶頂に達した彼女の淫乱パワーの前ではオルガスマトロンも成術なく燃えてしまい、クレッシェンド!

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 これがオルガスマトロンだ!

 

しかしパイガーは言う。「天使の愛は性ではない」

なんてちゃっかりメッセージを込めつつ映画は終盤へ。

デュラン・デュランは最後の手段ポジトロン光線でソゴーの民を四次元の世界へ送るという暴挙に出る。窮地に立たされたバーバレラは女皇帝と手を組み、マトモスの力でなんとかマッドサイエンティストを倒すと、パイガーに掴まり燃え盛る城から脱出する。

なぜ酷いことをした女皇帝を助けるのかと尋ねるバーバレラにパイガーは言う。

「天使だからさ」

(英語では「そんなことは記憶にないね」と言っている)。

 

いがみ合うのも忘れた三人は微笑み、愛に包まれる。ああパイガーおまえは最高の天使だ!それに比べてJ.Jよ、おまえはまるでダークサイドに落ちたアナキン・スカイウォーカーにそっくりじゃないか。確かにLOSTは面白かった。だがその時点でお前の中に暗黒面が漂っていたのだ。時代の波という暗黒面がな。これからはディズニーや映画オタクの老いぼれどものような、いわゆるアホに決してのまれるではないぞ。そうならないためには、この愛に包まれた映画を観て、イマジネーションという名のフォースを覚醒させるのだ。よいな。

オシリ・ギャラガー