『大人になれば Vol.8』ひろし


渋滞に巻き込まれながら、少し遠くに虹が見え少し感動していたら
反対の車線を自転車で通り過ぎる女子高生のパンツが見えた。
朝8時30分の出来事である。
中々味わうことのできない多幸感。
虹の次にパンティーなんて選曲は、
どんなDJでも考えつくことのできない芸当。
きっと「神は偉大なり」なんて言葉は、
こういう時にやっと使うべきなんだろう。
たばこに火をつけちょっと渋い顔でもしていると、
iPodのシャッフル再生は柳ジョージの『フェンスの向こうのアメリカ』を選んだ。

http://www.youtube.com/watch?v=a_TMRhISrlU

9:00上映開始の『イコライザー』にはどうにか間に合った。
元CIAで妻を殺害された過去を持つホームセンター店員が、
喫茶店で出会った娼婦を苦しめる組織を壊滅させようと
殺戮マシーンとして本領発揮しまくるというストーリー。
ギンティ小林さんの言う「ナメテた奴が実は殺人マシーンだった映画」を
地でいく、漢汁100%の傑作映画であり
デンゼル・ワシントン演じる主人公の「Do the right thing」という言葉に
ついつい感じてしまった次第である。
パンチラを見てウキウキしていた2時間半前とはだいぶ違う、
ジャスティスオーラを漂わせながら次の目的地へ向かうことにした。
車のエンジンをかけ再びたばこに火をつけ、
iPodで再生したのはもちろんPublic Enemyの『Fight The Power』だ。

正午をちょっと過ぎたかくらいの時間には地元のレコード屋に到着。
店内にはちょっとシャレた感じの大学生が2人と
フレンチポップやらテクノのLPを「これじゃないんだよな〜」と
嘆きながら試聴しまくっている暇そうなおじいちゃんが1人。
大学生の方は店員と小気味よいカンヴァセーションをしている様子で、
きっとレコードを女の口説き道具とでも思っているんだ、と俺は勝手に決めつけた。
でも彼らの少し余裕のある面持ちを見ると、
もしかしたらある程度結果を出しているのかもしれない。
確実なことは一つ、彼らにジャスティスはないということだけだ。
気付いた時には消えていたおじいちゃんの残り香を嗅ぎながら、
少々の不快感と共に約1時間のレコードハンティングタイム。
LPを3枚と7インチを1枚購入。
その中でもお気に入りの曲が780円で購入した7インチ盤
Bobby Brownの『Rock Wit’cha』だ。

大人になれば、休みの日なんて半日で事足りる。
早起きをしてやりたいことを全部午前中にやってしまう。
午後3時過ぎから優雅なティータイムが過ごせるということだ。
洗濯物を干し、買ってきたレコードをちょうどいい音量で聴き
2Lで88円の緑茶を飲みながら文章を書く。
眠くなったら、25センチ向こうには万年床がある。
今日は5回レコードを裏返した。